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NHK杯に見る受けの手筋

(2018年9月10日出題)

第665問(2018年9月9日 佐々木慎六段-佐藤天彦名人戦)
(問665-1)
先手佐々木六段、後手佐藤名人で、初手は▲7八飛。その後、先手は角道を開けたまま玉を移動させた為、後手から角を交換し、先手の角交換向かい飛車対左美濃となった。序盤から中盤は細かい折衝が行われ構想の難しい将棋だったが、先手が角を手放しこれに鋭く反撃し戦いが始まった。下図はその終盤の入口。△9二の遠見の角で△5六歩を支えており、遠く▲3八金もにらんでいる。今、△7七歩成と歩の成り捨てを利かせたところ。ここで先手はどうしたら良いか?このような利かされの応手は常に迷い考えることになる。
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問665-2)
際どい一手差争いの終盤になったが、後手が一歩抜け出した。下図は後手必勝。しかし喜んで△3九金と飛車を取ると、▲2一金で「あっ!」と言うことに。△3三には桂がいることが多いので勘違いしやすく、盤面は丁寧に見る必要がある。そこで、この詰めろの受け方は何が良いか?後手佐藤名人の指した次の一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問665-1解答)「金が遊んでもと金を払うか、と金を残しても金を守りに付かせるか」
ここは二択だ。▲7七金とと金を払うか、実戦のように▲5八金と寄るか。こうした選択は難しい事が多い。もちろん、絶対に払った方が良い場合、逃げた方が良い場合、あるいは手抜きで攻めて一手勝ちになる場合など、明快な時はそれを選択出来なければならない。ただ、どちらが良いか難しい場合も多々あり、こうした時は経験と読みに頼ることになる。

本譜はこの後、佐藤名人が巧みな手順で△7七のと金を使うことに成功した。△4四歩と一旦守り、△5七歩成から△6八と。この手順があるならあるいはと金は払っておいた方が良かったのかもしれない。少しずつ形勢は後手に傾いていき、最終盤戦へと入っていった。

(問665-2解答)「犠打-詰めろ逃れの詰めろで切り返す」
ここは有段者なら△3五桂打はひと目。△3九の飛車が当たっているので、△3五桂と跳ねるのも味良い一着でこれでも後手必勝は変わらない。ただ、△2一桂とか△3一桂や金などを下に打つのは、受けただけの手であり、それでも後手が勝てるかもしれないが、急に難しくなり混戦になる可能性はある。

本譜は▲2一金を決めて、▲3七飛と最後の粘りに出たが、△4七金打が冷静な一着で先手玉を寄せ切ることに成功、後手佐藤名人の勝利となった。

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