将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ

NHK杯に見る受けの手筋

(2018年9月17日出題)

第666問(2018年9月16日 郷田九段-阿部健治郎七段戦)
(問666-1)
先手郷田九段、後手阿部七段で、戦型は一手損角換わり。先手が早繰り銀で銀を繰り出すと、後手は△5四銀から△4四歩〜△4三銀という形で受けた。その後、本格的な戦いは双方入城してから。後手が△6九角と金に角をかけると、先手も▲4一銀と金の割り打ちをして一枚はがし、難解な終盤戦に突入。下図は今▲4三歩と歩を垂らしたところ。もちろんこのまま▲4二歩成と成られてはいけない。受けはいつくかありそうだが、この局面での効率の良い受けは何か?後手阿部七段の指した次の一手は?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問666-2)
上図はまだ形勢不明の難解な局面だったが、ここから少しずつ先手がポイントを上げ有利に進めていった。そして下図の最終盤はすでに先手勝勢。但し、よそ見をしていると△7八飛成で終わってしまう。ここでの勝ち方は必ずしも一つではないが、受けとしてピッタリした一着がある。盤面全体を見れば難しい手ではない。ここで指された先手郷田九段の指した次の一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問666-1解答)「節約して受ける」
先手に持ち駒がないので、△4二に利くように駒を足しさえすれば、銀を打っても、あるいは△8五桂と跳ねて馬取りにしても一旦は受かる。ただここは△3三銀と△2四の銀を引くのが味良い一着。将棋の基本は駒の損得だが、次に重要なのは駒の効率。△2四銀も遊んでいるとまでは言えないが、上部には馬もいるので、現時点はいなくても大丈夫。この銀を守りに付かせるのが駒の効率の良い使い方で、ここからさらに難しい終盤戦が繰り広げられた。

本譜はここで▲4七金と寄ったのが、解説でも言っていた、郷田九段らしい「格調高い手」。すぐに▲1七桂から攻めたくなるところを、じっと一手ためて▲3七桂とより良い方向から跳ねようとした手だ。ここから少しずつ先手がポイントを上げ、引き離しにかかったが、後手も猛追して熱戦に。しかし、第2問まで行くと先手の勝ちがはっきりしてきた。

(問666-2解答)「大駒の利きで飛車筋を止める」
ここは一手詰さえ受ければ何をしても必勝だが、▲7九金打と打って、千日手にしてしまってはいけない。そして盤面全体を見ていれば、▲4八の地点で飛車筋を止められることに気づくだろう。ここに使う駒は何であってもそれほど問題はないが、一番安い歩で後手玉が詰めろになっていることを読めれば言うことなし。つまり、この手は詰めろ逃れの詰めろということ。

本譜は△7八金▲同玉の後、△6六金と打って手を渡したが、▲5二飛成から上部へ追い出してもそれほど難しい詰みではなく、特に▲4八歩がピッタリ利き、後手玉は即詰み、先手郷田九段の勝利となった。

なお最後の即詰みの局面は持ち駒を大量に持っていたが、それを最小にしてみたので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
先週の問題へ/来週の問題へ

将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ