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NHK杯に見る受けの手筋

(2019年7月15日出題)

第706問(2019年7月14日 橋本八段-大石七段戦)
(問706-1)
先手橋本八段、後手大石七段で戦型は後手のダイレクト向かい飛車。初手合いで、さらに両者ともに居飛車振り飛車両方を指すと言うことで出だしは相手の様子を見ながら。そして後手が向かい飛車に振ると、▲6五角△7四角から▲4三角成〜金を取って▲7五に金を打つ本にも出てくる一つの定跡手順に進んだ。しかしその後はすぐに力戦模様となりどのように駒組みを進めていくか構想力の問われる進行へ。戦いは後手が△6五歩と突いた瞬間、先手が▲2四歩から▲2三歩と飛車頭を叩き始まった。この攻めが厳しく先手がリードし中盤から終盤へ。下図は香得を果たした先手に今△8五桂と先手の玉頭に襲いかかったところ。ここで指された先手の次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問706-2)
上図から数手進んだ局面が下図。得した香でさらに銀と交換したため先手の銀得になっている。本来苦しくなったら、攻めに活路を見出したいところだが、実戦はここで受けの一手を指した。一気に負けない為の辛抱の一着とは何か?後手の指した次の一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問706-1解答)「味の良い歩の取り返し」
銀取りの場合、銀が逃げるのは自然だが、△7七歩など玉頭を叩かれる場合には銀を逃げないことが多い。と言ってこのまま銀を取られた後△6六歩や△7五歩など玉頭に手を付けられるのも結構な嫌みだ。そこでじっと▲6五歩とこのぶつかっている歩を取っておくのが味の良い一着。△7七桂成には▲同桂で、この▲6五歩が拠点になり▲6四香が非常に厳しい手になる。

本譜は、後手も銀を取らずに△6五銀と単に歩を払ったが、▲6六香が厳しい反撃。香得が銀得になり先手有利のまま第2問に続いている。

(問706-2解答)「急所のキズを消しておく歩」
ここで△6四歩と打ったのが実戦で渋い一着。問題図では勢い△6五歩と叩きたくなるが、▲7五銀と出られると次の▲6四歩が激痛で後手陣はもたない。そこで後手を引くのは辛いのだが、こうしておけば次に△6五香を見ているので、先手も少しは焦ることになるという訳。

本譜はこの後、▲4五桂に△6五香と打って攻め合いになったが、感想戦でも触れられたようにどこかで△5一飛と一回引いておきたかった。もし▲2二馬との交換であれば大きな利かしになるし容易ではなかったと思われるが、本譜△6六香に手抜いて▲4三成桂が強い手で一気に後手陣に迫ると、後手からの最後の攻めを余し、先手橋本八段の勝利となった。

なお感想戦の15分は、仕掛け前後の是非。橋本八段の話が理路整然としており非常に分かりやすかったので、もし録画している人は感想戦までしっかり聞いてみて下さい。
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