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NHK杯に見る受けの手筋

(2019年7月8日出題)

第705問(2019年7月7日 片上七段-三浦九段戦)
(問705-1)
先手片上七段、後手三浦九段で戦型は先手中飛車。先手は最初から▲5六歩〜▲5八飛と中飛車を明示。対して後手は、飛車先を保留し端を詰め金銀の動きを優先した為、先手も遠く穴熊に入った。仕掛けは後手の△6五桂〜△1三角から始まり△4五歩で全面的な戦いに。下図は△4八歩と叩いて▲同飛を利かせてから△8六角成と成り返ったところで次の△8五飛〜△5九馬が厳しく、後手の調子が良さそうに見える。ここで先手はどうしたか?普通はタダで桂を取られないように▲8四歩△同飛に▲7三桂成が常識的な進行だが、△5九馬で攻め合い負けしそうだ。ここで指された先手の次の三手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問705-2)
先手が猛追し、終盤はどちらが勝っているか分からない熱戦となった。今、▲4一とと寄ったところで、後手から見てこの手が詰めろなのか、あるいは先手玉にどのように詰めろをかけるべきか難しい局面。詰めろであれば受ける一手だし、詰めろでなかったとしても受けて手が伸びるなら受けておきたいところ。ここで指された後手の次の一手は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問705-1解答)「後手でも飛車を成らせない辛抱の手順」
ここで実戦の進行は、▲7三桂成△同飛に▲8四歩。この手順は見ていて驚いた、というより大いに感心した手順。桂を犠牲に飛車を一旦は動かしても、駒損を取り返そうとすぐに▲8二角と打つと、△8三飛で結局成り込みを防げない。その為、じっと▲8四歩。後手になっても飛車成りを防ぐのが重要との読みでなるほどな手順。

本譜は、後手が成った桂を寄るだけの単純な(厳しい)手に対し、いろいろ駆使して勝負形にしようとし、実際勝負手が功を奏し形勢は混沌としていった。そして第2問に続いている。

(問705-2解答)「手を稼ぐ犠打」
▲4一とは次に▲3一とから(4二とでも)詰む詰めろ。そこで△5一香と打ったのが実戦。▲同とと取らせれば香は損しても、と金が離れ手を稼ぎ、攻めの手が指せるので後手必勝。この犠打は歩なら一番良く、桂か香はどちらが不要かを考えて使うことになる。もちろん終盤は忙しいので先手もと金を戻すことはなく、▲4二とから▲2六香と打って難解な終盤戦は続いた。

本譜はこの後、玉頭戦含みに詰めろ逃れの詰めろなど一手指す方が良く見える激闘に。しかし最後、先手が手を渡すと、きっちり先手玉を即詰みに討ち取り、後手三浦九段の勝利となった。

なお、この将棋、手を渡した局面で桂一枚あれば後手玉が詰みなので、少し修正し作成した「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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