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NHK杯に見る受けの手筋

(2019年7月1日出題)

第704問(2019年6月30日 菅井七段-永瀬叡王戦)
(問704-1)
先手菅井七段、後手永瀬叡王で戦型は先手のノーマル三間飛車対居飛車穴熊。最初は振り飛車が端を詰めるなど、序盤は様子を見ながらの駒組みだったが、結局角道を止めた三間飛車に後手居飛車穴熊となった。その後、先手は7筋の歩を切った後、飛車を深く引いて駒組みを進めたのに対し、穴熊に囲い終わった後手は△6四銀と動いて行った。下図はその局面で、これから中盤戦というところだが、次に△7五銀と出る手が見える。そこで指された先手の次の一手はある意味驚きの一着だった。ここで指された先手菅井七段の次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問704-2)
中盤から終盤戦と力のこもった応酬が繰り広げられた。そしてそこを抜け出したのは後手。穴熊の固さ、遠さを頼りに駒をさばいて局面をリード。対して先手も龍を見捨てて穴熊に食い付こうとしているのが下図。今▲4四歩と垂らし、と金で攻めかかろうとしているところ。後手から見て、次に▲4三歩成△3一金に▲3二銀とからまれると振りほどくのは容易ではない。ここで指された後手の次の一手は何か?このような局面で良く出る受けの手筋とは?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問704-1解答)「出足を止めるやり直しの歩」
ここで菅井七段は▲7六歩と打って銀の出足を止めた。普通は切った歩を再度打たされるのでは作戦失敗とも思えるのだが、出足を止める為▲7六銀と出ると△7四歩で戦いが避けられないと見た「やり直しの歩」(と考えられる)。解説も感想戦も素通りしてしまった為、この手の感想は聞けなかったが、駒組み失敗なのか、それとも研究の一端なのか知りたいところ。実際、形勢は互角で、これからの将棋だ。

本譜は、その後ねじり合いの中盤から終盤戦へ突入。少しずつ穴熊ペースとなり、第2問となっている。

(問704-2解答)「遠くから角を利かす受け」
ここは△7六角がこういう場合のピッタリした受けだ。▲4三歩成には△同金と△5四角があり、角の位置が変わってくる。また、もし△8七から打てて馬に成れるならよりしっかりした受けとなる。居飛車対振り飛車戦では、振り飛車側を持っても良く出てくる受けなので覚えておきたい。

本譜は▲4三歩成に△5四角▲3二と△同角で駒を一掃。さらに▲4二金の張り付きにも△7二龍で攻め駒を攻めて後手優勢。最後は、△3二龍△3五香の形から一瞬の隙を突き、△3七香成と踏み込み一気に先手玉を寄せ、後手永瀬叡王の勝利となった。
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