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NHK杯に見る受けの手筋

(2019年6月24日出題)

第703問(2019年6月23日 杉本八段-行方八段戦)
(問703-1)
先手杉本八段、後手行方八段で戦型は先手中飛車。後手の居飛車は超速のように銀を繰り出しさばきを押さえ、先後ともに銀冠に組みじっくりした中盤戦となった。その後、どこから動くか難しい局面だったが、先手が4筋の歩を切って動いたのが下図の局面。ここで△4四歩と打ち、▲4九飛と進めるのは不自然ではない。しかしここから後手行方八段は巧みな手段でリードを奪う駒組みを続けた。ここで指された後手三手一組の手は何か?ここからの進行を3手まで。
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問703-2)
中盤の駒組みでポイントを上げられ、勝負手を繰り出すも、なかなか先手の形勢は好転しなかった。下図は駒損こそないものの、△8七飛成と飛車に成られしかも銀取りで先手苦戦。とりあえず▲4八銀と引くのはひと目だが手番を渡し、状況は悪いままだ。そこで杉本八段はここで勝負手を放った。勝負手は冷静に応対されると差は開くこともあるが、逆に功を奏することもある。苦戦を知った上での先手の次の一手は何か?その読み筋は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問703-1解答)「銀の立て直しを図る」
実戦の進行は、△5三銀▲4九飛に△4四銀だ。問題図で△4四歩と打つのは自然だが、そうするともう△6四の銀は攻めにしか使えなくなり、△7五歩か△5五歩と突いて行くしかなくなる。もちろんそれで成算が持てるなら良いのだが、実戦のように銀を立て直せば玉の守りが金銀四枚になり、角も通り駒の効率としては最高の状態に。欠点としては▲4五歩とここに位を取られることだが、やはりそれ以上に金銀四枚の陣形は固く、後手がペースを握った。

本譜は、ここから後手陣に揺さぶりをかけて何とか形勢逆転を狙っていったが、冷静に対応した後手が差を詰められず、そして飛車を成り込み第2問となっている。

(問703-2解答)「取られる直前の攻防の角」
ここで▲6六角と打って銀を守りながら、敵玉や▲4四歩を見た。但し、すぐに△6五歩が来るのは分かるので、その時の読みをしっかりと入れておかねばならない。この後の実戦の進行は△6五歩に▲4四歩△4二金引を利かせ、▲8八歩。△7八龍なら駒損となるが▲6八金で龍を捕まえられる。

本譜は▲8八歩に△8二龍を引き上げた手が冷静だった。▲5七角と逃げるよりなく、△6四角と先手玉をにらむこの位置が好着で後手優勢。この後も、何とか勝負形にしようとした先手だったが、玉の固さの違いがはっきり形勢差となり、最後は飛車を切ってズバッと寄せ、後手行方八段の勝利となった。
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