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NHK杯に見る受けの手筋

(2019年6月17日出題)

第702問(2019年6月16日 渡辺大夢五段-山崎八段戦)
(問702-1)
先手渡辺五段、後手山崎八段で戦型は相掛かり戦。出だしは最新ながらも良く見る形だったがすぐに力戦調となり、難しい中盤の駒組みが繰り広げられた。そして、後手の駒組みにスキ有りと見て先手が踏み込み、先手の攻め、後手の受けという形で終盤戦に突入。下図はその直後。△8二飛に▲6一角成と成ったところで、部分的には△5一金と引けば馬は取れる。しかし▲2一歩成が残っており、その進行では後手不満。そこでどうしたら良いか?後手山崎八段の指した次の一手は?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問702-2)
終盤、形勢が何度か入れ替わっていたのかもしれない。下図直前、後手にもチャンスが訪れたが、時間つなぎに△6七歩成と一歩成り捨てた手に対し、それを先手がとがめ▲6七同金と金で払い、今△5六歩と歩を突き出したところ。次にこのまま△5七歩成とされてはたまらない。そこで先手はどう受けるか?先手渡辺五段の指した次の一手は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問702-1解答)「生角を投入する全軍の受け」
ここで山崎八段は△3二角と持ち駒の角を投入して▲2一歩成を受けた。普通は角そのものが受けに適さない上に、こうして大駒を受けに使わされるのでは辛いとしたもの。しかし△5一金でははっきり悪いと見て、あるいは△3二角で先手から手をつなげるのは容易でないと見てかこのように△3二角と打って、先手からの攻めを待った。

本譜は、実際形勢不明の難解な終盤戦は続いた。△5一金を見られている為、先手も動くしかなく、その手に乗じて後手も切り返し、戦いは進んで行く。そして一旦は後手に形勢が傾いたかと思われたが、慌てて成り捨てた手をとがめ第2問となっている。

(問702-2解答)「飛車筋をさえぎる基本の歩」
ここはじっと▲6六歩と打つ一手。終盤では先手を取るために、飛車頭を叩くことも多いが、ここで▲6五歩と叩くと△同桂となり△7三の桂を使われてしまうのでかえってまずい。じっと▲6六歩と打っておけば(▲5三に金の質駒があり持ち駒金銀二枚の勘定だが)それでも手を付けるのは難しそうだ。

本譜は難解な戦いがまだまだ続きそうだった。後手は△6二歩と打ち催促し(▲5三の金が浮く)、▲4三金△同金に▲6一馬と進み、今度は先手に攻める番が回った。そしてこの後も、難しい戦いだったが、最後はポカに近い見落としがあり急転直下、後手玉必死に先手玉詰まずという局面になり、先手渡辺五段の勝利となった。
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