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NHK杯に見る受けの手筋

(2019年11月25日出題)

第725問(2019年11月25日 渡辺明三冠-福崎九段戦)
(問725-1)
先手渡辺三冠、後手福崎九段で戦型は相居飛車戦。後手が角道を止めてから飛車先を突き雁木を目指すと、先手は飛車先を受けずに、右四間の形で攻めをうかがった。そして、玉頭▲4五歩から固いところをやや強引とも思える攻めに、あるいは受けがどこかおかしかったのか、先手有利の戦いへと進んだ。下図は▲8二飛に△4四馬と王手桂取りに引きつけたところ。王手なので何か受ける一手だが、どのように受けるのが良いか?先手の指した次の一手は?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問725-2)
上図から約10手後、先手の有利はさらに拡大。しかし今△8六歩と先手から見て最も嫌なところに手を付けられたところ。相手をしなくてもすぐに悪くなる訳ではないが、ここで先手はどうしたか?先手の指した次の一手は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問725-1解答)「角には角の合わせ」
▲7七銀打と埋めるのは固いが、△4五馬と取られると攻め駒不足を心配することになる。実戦、▲6六角と打ったように角には角を合わせるのが手筋。△同馬なら▲同歩でこれは馬まで消え先手の理想。後手は△4五馬と取る一手だが、そこで先手にはいろいろな手がありそうだ。たとえば平凡に▲1一角成と駒損を取り返しておくのは自然に見えるが、実戦は▲5六銀と打ち、手堅く有利を拡大。

本譜、その銀打ちは攻防の一着。これにどう応じても先手優勢。実戦は馬を切って△5五歩と止め、▲8一飛成に△8六歩と玉頭に嫌みを付けたのが第2問になっている。

(問725-2解答)「じっと▲同歩と取る受け」
△8七歩成と成られてもすぐにどうと言うことはないので、▲5五角と出たり、▲7三桂成などの攻防手が目に付くが、渡辺三冠はじっと▲8六同歩。こうした手は、相手に歩が何枚もあると一手の価値がないことも多く、じっと取る手は勇気がいる。しかし、相手の持ち駒を見ての一着であり、様々な手を読んだ上で大丈夫との判断。

本譜は、△4九飛にも受けずに▲2一龍と桂を取り、△8七歩からの後手の攻めに、反撃、最後はきっちり一手差の勝ちを読み切り、先手玉必死に後手玉を詰め、先手渡辺三冠の勝利となった。
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