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NHK杯に見る受けの手筋

(2019年12月2日出題)

第726問(2019年12月1日 郷田九段-永瀬二冠戦)
(問726-1)
先手郷田九段、後手永瀬二冠で戦型は相居飛車戦。矢倉の出だしだったが、後手が銀を早めに繰り出し先手がこれを迎え撃つと、序盤からあまり見たことのない力戦調の将棋になった。戦いは4〜5筋で始まり、一気に終盤戦へ。下図は角が使えない為、今△1四歩と端を突いたところ。ただ△1三角△2五歩と2手指しても▲7九角の一手でこの金自体は受かる。このような局面は手が広くどうすれば良いか難しい。しかし有段者ならひと目こう指したいという一着がある。ここで指された先手の次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問726-2)
終盤の途中で先手に見落とし(感想戦で)があり、後手が有利に立った。しかしそれでも決め手を与えず勝負手を繰り出し熱戦は続き、下図は後手に王手もかかっている。ここでの受けそのものはやさしい一着。ただそれ以外の受けでも大丈夫かどうか?たとえば△2二銀と合駒した時にはどのような攻めがあるのか?ちょっといつもとは違う問題だが、下図の次の一手は必然手かどうかを問う。
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問726-1解答)「居玉は避けよ」
何かの取りになっているとか、次の一手で厳しい手があるとか言うのでなければ、この局面はひと目▲6九玉と寄りたい。「居玉は避けよ」という格言は、やはり居玉は寄りやすいし、またこの局面のように相手の飛車が直通しているところはかなり危険な場所だから。ただし、玉を移すのは相手の陣形を見てであり、たとえば△8五歩が伸びていて△8二に飛車がいるような時は、危険な方に寄ることになるので、気を付けなければならない。

本譜はこの後、さらに安全地帯へと動いた手が疑問だった。△5八歩から角切りの強襲を喰い後手有利に。そのまま後手優勢の最終盤だったが、一手でも間違えると逆転するのが将棋の終盤で第2問へと続いている。

(問726-2解答)「絶対手である△2二金打の意味」
数多く将棋を指していれば、読まずとも△2二金打と一枚入れてしまいそうでこれは最も普通の着手。しかし、もし先手玉が金一枚あれば分かりやすい詰みという場合には、温存して△2二銀と打つ手も考えられる。ただその時、先手からの攻めがないかどうかは読まなければならない。ここでもし△2二銀と合駒すると▲3二龍という手がある。これに△同玉なら▲4一角からあっという間に詰まされて負けということになってしまう。
終盤では先手を取ることが多く、龍の王手に対し解答のように金ではじくことは良くあるが、この局面ではそれ以外の意味として▲3二龍を防いでいるいうこともある訳だ。

本譜は、▲6一龍と金を取りながら逃げるしかなく、その金を▲7七金と入れて粘ったが、後手玉に迫る手もなくなり先手投了、後手永瀬二冠の勝利となった。
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