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NHK杯に見る受けの手筋

(2020年1月27日出題)

第734問(2020年1月26日 丸山九段-佐藤康光九段戦)
(問734-1)
先手丸山九段、後手佐藤九段で戦型は後手の角交換向かい飛車。居飛車が銀冠に組むと、後手も銀冠に組んで駒組みは進んで行った。そして中盤、先手が▲5六に自陣角を打って局面は少しずつ動く。その後、△5五へ出た銀の去就が問題になり、結局後手は銀損の攻めをすることに。そのため、先手有利から終盤では優勢になった。下図は今▲6三歩と垂らしたところ。非常に厳しい手筋でありこのままでの攻め合いは一手も二手も遅い。そこでどうしたら良いか。苦しいながらもここですぐに土俵を割らないための後手の応手は?実戦の進行を三手まで。
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問734-2)
終盤、先手優勢のまま進んでおり、そのまま終わるかとも思われた。しかし、この数手前、△5七馬と寄った時、(△7九角を打たせないように)▲6九金△6六馬▲7七銀打と進むのかと思っていたら、▲6七金打と▲6六の金も守って余す作戦に出た。そのため局面的にはかなり怖い形になっている。今、△7三桂と跳ね、次に△6五桂打のつなぎ桂を見られており、少しでも受け間違えるとたちどころに負けになってしまう局面。ここで先手はどのように受けたか?先手の指した次の一手は何?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問734-1解答)「拠点を捨ててでも歩で受ける場合」
実戦は、△6七歩成▲同金直△6一歩。垂らした歩に歩で受けると言うのは基本の受けでもある。ただしこの場合は、二歩で打てない。という訳でその歩を成り捨て△6一歩と受けたのが実戦。このように歩を受ける為に拠点を捨てると言うのはかなり辛い手で、場合によるとじり貧にもなりかねない。ただそれ以上に▲6二歩成は早いのと、香を持っている為、後から△6四香の反撃が残っているなど他の事情も考えてこのような手を選ぶことになる。

本譜は相当先手が良かったはずだが、後手も勝負手を繰り出し猛追。少しでも受け間違えると逆転するという局面にまで持っていったのが第2問である。

(問734-2解答)「終盤での正確な読み」
ここで実戦は▲8八香。これが「敵の打ちたい所に打て」の格言をいく受けとなっている。問題図では、後手から△6五桂打▲8七玉に△8八金という詰み筋があるので、この地点を受けたという訳。さらに6五の地点だけを受けると△8五桂打というような攻めもあるのでこちらも気を付けなければならない。このように終盤では常に正確な読みが要求され、少しでも読み抜けがあるとたちどころに負けになるのが将棋の終盤だ。

本譜は、それでも玉頭戦の一手争いとなり、際どい勝負が繰り広げられた。しかし銀得で得たポイントを使い切らずに先手が逃げ切り、先手丸山九段の勝利となった。
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