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NHK杯に見る受けの手筋

(2020年2月3日出題)

第735問(2020年2月2日 深浦九段-増田康宏六段戦)
(問735-1)
先手深浦九段、後手増田六段で戦型は相居飛車。角換わりの出だしだったが後手が角道を止めると、角の交換されない相腰掛け銀へと進んだ。その後先手の右四間から▲4五歩と開戦すると、角を交換、さらに銀も交換された直後、研究手とも思える驚愕の一着が飛び出した。下図はその直後。今▲8二角と打ち、▲9一角成からの駒得を見られている。決して早い攻めとは言えないが、先手陣も固く、後手としては攻め合いを目指すのか丁寧に受けるのか岐路に立たされている。ここで指された後手の次の一手は?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問735-2)
上図から、後手が受けきれるか先手の攻めがつながるか攻防は続いた。しかし、馬を殺しに行く手を見送った為徐々に先手の攻めを受け止められなくなって行った(感想戦で)。下図は、飛角交換した飛車を▲4一に下ろし、△2七角と遠くから打った角の利きをさえぎる▲4五歩に△同角成と成ったところ。前からの手を見ていればここではこれしかないが、ここで三手一組の手として先手がどのように指したかを問う。実戦の進行を三手まで。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問735-1解答)「玉の危険度と駒得」
ここで実戦は△6一玉。▲9一角成に△7一玉の駒得を見せけん制した手だ。ただ玉が相手の攻め駒、つまり危険地帯に近づくとも言えるので、それで大丈夫かどうか丁寧に読む必要がある。もちろん取り切ってしまえばやはり駒得は大きい。この後は、その先手の攻めと後手の受けの勝負が繰り広げられた。

本譜、馬を殺す手を指さなかったことを感想戦では後悔していた。その馬が結局は飛車との交換になり、▲6四の桂と▲4一飛で勝ちまでもう少しのところまで進んだのが第2問である。

(問735-2解答)「飛車を切ってからの早逃げ」
実戦の進行は▲4五飛△同桂▲6九玉。この三手、▲4五歩と角筋をさえぎればほぼこれしかない手順だが、飛車を切って後手を引くと言うのは終盤の手としては怖い手順。一手▲6九玉と寄った局面が飛車に強く先手玉が駒を渡さないとすぐに寄らないということをしっかり見切った上で指す必要がある。

本譜は、△7七香▲同金に△5七桂不成と最後の攻めに出たが、この桂香をもらうと後手玉は詰む。最後はしっかり後手玉を詰め切り先手深浦九段の勝利となった。
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