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NHK杯に見る受けの手筋

(2020年4月20日出題)

第746問(2020年4月19日 千田七段-阿部隆八段戦)
(問746-1)
先手千田七段、後手阿部八段で戦型は居飛車対向かい飛車。但し、序盤から相手の出方を見ながらの戦型選択で、しかも先手が挑発とも取れるような角銀取りをかけさせ、これに後手がのった為、先週に続き乱戦、力将棋となった。下図はその直後。銀桂交換で駒得はしているが、▲5五角で桂と香の両取りが残っている。▲3三角成とされると将棋は終わってしまい、単に香を取られるのも痛い。そこでどうするか。ここでは一つしかないが、その後の展開もしっかり読みに入れなければならない。ここで指された後手の次の一手は何?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問746-2)
やや駒損はしていても、駒の効率や玉の固さは先手に分がある。ただし、後手には自陣に動かしたい駒がたくさんあり(△6一の金を上げたり、飛車を引いたり、居玉を直したり)、ほぐれてくると駒損が響いてきそうなので忙しい。今、△5七角と打ち込まれた所だが、何かを狙っているというより、先手の動きをけん制した意味合いが強い。漠然として難しい局面だが先手は何を指したか?(感想戦で)後手が見落としていたと言っていた次の三手が好手順だった。ここで指された先手の次の一手は?実戦の進行を三手まで。
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問746-1解答)「角には角の合わせ」
桂も香も助けるためには△4四角以外にない。ただし、▲同角△同銀の後、厳しい攻めがあると香損の方がまだまし、ということになってしまうのでそこはしっかり読みを入れる必要がある。

本譜は、▲4四同角△同銀に▲6六角と銀取りに打って攻めを続けた。これに△4三銀と駒を投入してしっかり受け、形勢互角のまま第2問へと続いていく。

(問746-2解答)「角には角の合わせ part2」
△5七角に▲4八角と合わせたのがあまり見ない筋で、△4六角成に▲3七角と移動合いで再び合わせるのが好手順の読み筋となる。これは実戦△同馬に▲同桂で、無条件に一手得で桂を跳ねたことになり、先手が主導権を握った。

本譜はそれでも形勢にそれほど差が付いている訳ではなさそうだった。しかしこの手順が後手にダメージを与えたか、ここから先手の強気な攻めの手筋が通り、本当に先手優勢へと傾く。そして、最後はまだ詰む詰まないという状況にはなっていなかったが、ある意味戦意を喪失した後手が早々と投了し、先手千田七段の勝利となった。

なお、実戦の投了図から実戦の詰みを作成する為、先後とも激指のpro+に一手20秒で指させた。その結果、本局は89手で終わっているが、その後30手余りを指し継ぎ123手で先手が勝っている。その最終盤から作成した「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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