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NHK杯に見る受けの手筋

(2020年4月13日出題)

第745問(2020年4月12日 西川和宏六段-山崎八段戦)
(問745-1)
先手西川六段、後手山崎八段で戦型は序盤からの乱戦、力将棋。初手より相手の様子を見ながら数手進め、先手の三間飛車に後手は、△4四歩のいわゆる「パックマン戦法」。これに▲同角と食い付いてあまり見たことのない乱戦となった。しかしさすがにプロの将棋ではすぐに決まることもなく、先手は馬を、後手は龍を引きつけて渋い中盤戦が続いた。下図はその終盤へ入るところ。今、▲5六歩と打ち△4四銀引と銀を引き上げさせたところ。すぐに何かを受けなければいけないということはないが、ここでは指したい一着がある。ここで指された先手の次の一手は何か?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問745-2)
上図から数手進み、後手の△3三桂から△4五桂が厳しかった。感想戦ではこの筋を受けておけばまだまだという話にはなったが、ここから急に後手優勢へと進んだ。その終盤、下図は今▲6四金と龍取りに金を打ったところ。△1三角が急所を睨んでおりここは決め所とも思える。しかし実際はどうか。ここで指された後手の次の一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問745-1解答)「居玉は避けよ」
後手が、△4一玉〜△3二玉と居玉を避けたように、先手も▲6九玉から▲7八玉と戦いに入る前に戦場から少しでも離れておきたい。▲6九玉でも固そうに見えるが、馬がいなくなった時、いきなり△4七角の間接王手飛車がかかったり、▲6八の金を攻められると一段玉は簡単に寄りやすい。

本譜は、この後△3三桂〜△4五桂と使わせたのがまずかったようだ。中盤互角のねじり合いだったが桂に跳ねられ駒がほどけてくると急に後手が良くなった。そして第2問へと続いていく。

(問745-2解答)「一旦逃げておく - 後の先という考え方」
△6四龍と切り▲同銀に△5七金と攻めても後手優勢だろうが、実戦△6二龍と逃げておくのが辛い一着だった。逃げる手自体は後手でも、次に△5五銀▲同歩△6四龍があるので先手は手を抜けない。つまり「後の先」(ごのせん)になっており、それなら龍を渡すような危険なことをする必要はないという訳だ。

実際、▲4四銀△同銀に▲5四金くらいしか手はなく、そこで△5七銀から一気に寄せに出た。そして最後は先手玉をきれいに詰ませ、後手山崎八段の勝利となった。

なお、実戦の最後の詰みの部分を問題にしたので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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