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NHK杯に見る受けの手筋

(2021年4月19日出題)

第796問(2021年4月18日 宮本五段-出口五段戦)
(問796-1)
先手宮本五段、後手出口五段で戦型は相穴熊。先手の角道を止めた三間飛車に後手が穴熊を目指すと、先手も穴熊に入り相穴熊戦となった。その後、後手が3筋の歩を切り、双方一歩を持った後、△4五歩▲5五歩から全面的な戦いに。下図は角交換後△4五歩▲3六飛に今△3五歩と押さえたところ。もちろん飛車は逃げるしかないところで、その逃げ場所を問う。問題として出されればそれほど難しくはないかもしれないが、指した瞬間「なるほど」と感心させられる一着。常識にとらわれない飛車の逃げ場所とは?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問796-2)
上図から互角の勝負は続き、途中、お互い飛車を逃げずに取らせる好手もあり熱戦になった。しかし、後手が自陣飛車を打ち先手で自陣を強化すると先手の疑問手も加わり、局面は後手優勢へと傾く。下図はその終盤ではっきり後手良し。今▲6六角と攻防に打ち、次に▲3二馬を見たところ。解説では△3九金から攻め合いでという風なことも話していたが、ここでは受けるのにピッタリな一着がある。実戦でも指された勝ちを確定させる後手の次の一手は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問796-1解答)「場合の飛車引きの場所」
通常飛車は、八段目か六段目にいることが多い。それはどのような陣形でも、その段が最も飛車の働きが良くかつ安定しているからだが、それゆえ逃げる場合もそこを中心に考えることになる。ところがここで一つ▲3七飛と引いたのが「なるほど」の一着。どうしても横に逃げることをまず考えてしまいそうだが、横へ逃げるのはどこへ逃げても角でいじめられそうだ。また、一つ引いたことにより▲7七の桂にヒモがつき、この後△8八角と打たれているが、この時の桂取りも防いでいる。

本譜は後手も飛車を逃げない84手目の△5六歩から自陣飛車の△3三飛など好手が出て局面は拮抗。しかし、感想戦でも出たように95手目の▲4三香が攻め急ぎで後手がリード。後手優勢の終盤戦が第2問である。

(問796-2解答)「相穴熊戦特有の金駒投入」
▲3七の銀取りにもなっており、しかも飛車も持っているので、後手の攻めが切れることはない。という訳で、こうしたところは▲2二金打のようにしっかり一枚入れるのが手堅い一着となる。特に明快な一手三手必死でもあれば受けずに攻めたいが、長い詰みがあるような場合でも、一着入れておくのが実戦的には固い指し方。

本譜は、仕方なく▲3六銀と手を戻したが、△3九金から△3八歩と手筋の歩を叩くと先手陣は受けきれなくなり、その後数手で投了、後手出口五段の勝利となった。
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