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NHK杯に見る受けの手筋

(2021年4月26日出題)

第797問(2021年4月25日 野月八段-佐々木大地五段戦)
(問797-1)
先手野月八段、後手佐々木五段で戦型は相掛かり戦。先手の棒銀に、後手は角で受けると銀香と角の二枚替えとなった。しかし形勢は互角で、第二次駒組みに移る。その後先手は▲5六角から先攻、AIの形勢判断では先手やや良しの局面は長かったように思えるが、後手も差を広げさせずにピタリと追走していく。
そして終盤、下図直前まで互角だったが、ここは急に後手が優勢になったところ。そしてここでは決め手とも言える攻防の一着がある。ここで指された後手の次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問797-2)
本来は、上の問題を第2問目にしようと思っていたが、その後に「なるほど」という受けの一着が出たのでそれを第2問にした。下図は寄り切られそうな局面ではあるが、両取りもかかっており、ここさえ凌げばまだ分からない。今、△5七歩と垂らされ一手詰。ここで指された先手の次の一手は?この後、AIの形勢は再び互角に戻り、どちらが勝つか分からないところまで進んでいる。勝っていれば勝着ともなる受けの勝負手は何か?先手が指した次の一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問797-1解答)「攻防の田楽刺し」
飛車角玉のいるラインに香を打つことを田楽刺しと言う。ここでは、玉は5筋にいる訳ではないので、正確には田楽刺しではないが、それに近い香がここでの△5四香だ。玉の守りを固め、▲5四歩と打たれる筋を消し、先手玉の移動範囲も押さえている。事実上の決め手とも思ったが、ここからまだ先手も頑張った。

本譜は▲4五馬△同銀に▲5五歩と打ち、△同香▲7二角で飛銀両取りをかけ、後手にプレッシャーをかける。それでもAIは80%で後手優勢なので、あとは先手玉を寄せるだけの局面とも思われたが、まだまだ分からない最終盤が第2問である。

(問797-2解答)「最終盤の粘り方」
△5八歩成の一手詰なので飛車も銀も取っている暇はない。こうした局面、普通に考えられるのは△5八へ数を足すように、▲6八金寄だが、いつでも△5八歩成で金を入手されるし、△4八角成など後手にも数を足される手も残る。ここで実戦、▲7七金直が受けの勝負手。歩成りを許しても土俵際で耐えようとする手で後手を焦らせている。

本譜は、△5八歩成から△8二飛と一旦飛車の方を逃げたが、▲4五角成と急所に馬を作った局面は再び互角の形勢で、どちらが勝つか分からない混戦に。しかしこの後、△7五金と桂を外した手に▲2四飛と飛車が出て、その瞬間、後手勝率95%。最後はこの差を守り、後手佐々木五段の勝利となった。

なお、最終盤、先手玉必死の局面を受けた手が詰めろの受けになっていなかった場面がある。その局面の詰みの解説とそこから作成した「実戦の詰み」をYouTubeで解説しているので、下記リンク先からご覧下さい。
https://youtu.be/iqXxA3xkssI
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