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NHK杯に見る受けの手筋

(2021年5月10日出題)

第799問(2021年5月9日 西山女流三冠-八代七段戦)
(問799-1)
先手西山女流三冠、後手八代七段で戦型は石田流対居飛車銀冠。後手の穴熊を見せつつの駒組みに金銀が離れた瞬間、先手が仕掛け戦いが始まった。その終盤の入口、感想戦では▲7八歩と一旦桂を守った方が良かったとの話も出たが、下図は6筋、5筋を突き捨て味を付けてから▲8二歩と桂を入手しようとしているところ。ここで後手の指した手は何か?攻めに回る手も考えられないことはないが、この手に対しては有段者ならまずこう指すところ。ここで指された後手の次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問799-2)
上図から後手も反撃しと金を作った。単純な攻め合いは無理と見て、先手も▲5六銀から▲5五歩と角道を止めつつ、下図は銀を捕獲したところ。△6八とからの攻め合いも5筋に歩がたつだけに悪くはなさそうだが、ここで八代七段はプロらしい手筋の一着を放った。ここで指された後手の次の一手は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問799-1解答)「桂を逃げる場合、逃げない場合」
ここでは△9三桂が自然な一着。桂を一手で取られるとすぐに▲4五桂と打たれる。図のように逃げておけば、仮に取られた場合でも何手もかかる。但し、と金が玉に近いところにいて、桂を取る以外に活用される場合は、この一手を攻めに使った方が良い。

本譜は▲8一歩成に△5六歩から△7六歩と反撃。先手も懸命に凌ぐが、形勢は徐々に開き後手優勢80%以上、そして第2問へ続いていく。

(問799-2解答)「相手の攻め駒の効率を悪くする銀の手筋」
ここで△6三銀とタダの所に引いたのが受けの妙手。部分的にはある手筋で、取られる銀を相手の駒の効率を悪くする位置に呼び込む一着。ただ、実際に出ることが多いのは、一段目や二段目であり、このように三段目に出現することは珍しい。どうせ▲5四歩と銀を取られながら突き出されるのであれば、龍の位置を縦横に利いている▲7二から利きの悪い▲6三に移動させておいた方が得という訳だ。

本譜は、▲同龍に△6八とから5筋に歩を垂らすと金攻めで、後手の明快な一手勝ち。最後は、龍の開き王手に即詰みが生じたところで先手投了、後手八代七段の勝利となった。
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