将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ

NHK杯に見る受けの手筋

(2021年5月31日出題)

第802問(2021年5月30日 飯島八段-大橋六段戦)
(問802-1)
先手飯島八段、後手大橋六段で戦型は相掛かり戦。先手は1筋の位を取り、後手は駒の進出を優先した。下図はまだ中盤。後手が歩を損しながらも角道を開け、玉のコビンの歩を突いて小競り合いが始まった。今、▲4五桂と歩を取りながら跳ねたところで、後手はどうしたら良いか?取りになっている訳ではないので、何かを受けると言うものではないが、考えられる手は二択。中盤での参考になる手として問題にしてみた。後手の指した次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問802-2)
この将棋は、終盤戦がめまぐるしかった。下図は今△4七角と打たれもう受けようのない局面に見える。AIの形勢判断も90%を超えており後手勝勢。まもなく終わると思い良く見ていなかったらこの後凄いことになった。その終盤戦へとつながるここでの受け方は?実戦の進行を三手まで。
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問802-1解答)「歩得より陣形の安定」
本譜は、△4四歩と打ち、▲3三歩成から精算の手順に進んだ。しかし、問題図はまず△3四銀と一歩を得する手が映る。(△3四銀に)▲3三歩でも▲4六銀△4四歩▲3三歩でも精算した局面は、後手としては本譜より一歩得をしている。しかしなぜそうしなかったか?放送を見ている時は、陣形が乱れる方が一歩得より損だからかなと思っていたが(そのこともありそうだが)、▲4六銀から▲5五銀と歩を取りながら進む手が残っており、△3四銀は結果としてそれほど得にはならないと言うことらしい。

本譜は後手が攻めると先手も銀をぶつけて応戦、攻め合いになったが、後手の攻めが刺さり有利から優勢へ。そして後手勝勢の局面でもう波乱はおきないだろうと思っていた局面が第2問である。

(問802-2解答)「玉の早逃げで敵失を待つ」
形勢判断だけを見ると、問題図は投げてもおかしくない局面だが、指すとすれば▲7九玉△5八角成に▲8八玉の早逃げくらいしかない。しかし、△5九飛成がまた△8九金からの詰めろになっており、受けが後手後手となってしまうのでは普通はダメとしたもの。しかも今期から形勢判断が出ており、それが90%と出ているので真剣に考えながら見ていなかった。

本譜は、ここで▲9六歩と逃げ道を開けたがそれでもAIは後手勝勢90%。しかし、△7六桂と打った瞬間、先手優勢80%に大逆転。しかもここから終局までAIの評価値が乱高下する大波乱。実際どうだったのか、詳しく検討しないと分からないが、最後は後手玉を即詰みに討ち取り、先手飯島八段の勝利となった。

なおその最終盤、後手玉に難解な詰みが生じた。先手玉も詰むや詰まざるやの複雑な局面であり、後手の「実戦の詰み」と共にYouTubeで解説しているので、下記リンク先からご覧下さい。
https://youtu.be/OYHctnX0X5o
先週の問題へ/来週の問題へ

将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ