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NHK杯に見る受けの手筋

(2021年6月7日出題)

第803問(2021年6月6日 豊川七段-千田七段戦)
(問803-1)
先手豊川七段、後手千田七段で戦型は相矢倉戦。但し、先手が4筋を突いて、▲4五歩と位を取った為、後手も居玉のまま6筋の位を取り模様を張った。その後、先手が▲3五歩から動き、後手は右玉に構える。しかし、先手に後手の反撃を見落とした一着が出て形勢は大きく傾いた。下図はその直後。今△3五歩と打たれこれが厳しい。局後、将棋が終わってしまったと言うほどの痛打だが、こうしたところでも最善に受けるとまだ難しいところはある。ここで指された先手の次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問803-2)
上図からしぶとく粘るも形勢は縮まらない。▲4六銀から▲5五銀の勝負手に△8六歩を突き捨てておいて△8六角とさばく。そして今▲8七歩と角を追ったところ。角取りなので、この角を動かすよりないが、ここではどこへ動かしたら良いか?優勢を維持する後手の指した次の一手は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問803-1解答)「大駒を成らせない手順で凌ぐ」
△3五歩を▲同金と取り、△3七角成に飛車を逃げておく手もないことはないが、銀桂交換で大駒に成られるのは痛い。そこで、じっと飛車を浮いたのが実戦。△3六歩で金を取り返され、▲同飛に△4六金と打たれてると桂損になってしまうが、これが一番粘れる手順。

本譜のAIの評価は後手優勢70%以上。△3七金と桂を取った局面で80%に達したが、人間的にはそこまで広がっているようには見えない。しかしその差を着実に守りつつ終盤戦を戦っているのが第2問である。

(問803-2解答)「場合の角引きの場所」
△6八角成と切り込むのが無理なら角は引くしかない。その引き場所だが、普通は大駒と玉はできるだけ離れた方が一緒に攻められないので良い。また相手の攻め駒からもできるだけ遠くにいた方が良い場合が多く、そういう意味では本譜△5三角は意外な引き場所。しかし、5筋に歩が利かないこと、▲3五歩の受けになっていると言うことで、場合の好位置と言えそうだ。

本譜は、▲7五歩△同角▲3五歩と桂を取りに行ったが、△4七金から△5八歩と着実に迫られると、評価値は90%を超え、最後は先手玉必死に後手玉詰まずで終局し後手千田七段の勝利となった。
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