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NHK杯に見る受けの手筋

(2021年8月16日出題)

第813問(2021年8月15日 豊島竜王-服部四段戦)
(問813-1)
先手豊島竜王、後手服部四段で戦型は相居飛車。先手が角道を止め雁木を目指したのに対し、後手は矢倉に囲いお互いガップリの形になった。仕掛けは、後手の5筋の歩交換から。この角による歩の交換に対し、先手が角を目標に反撃に出ると、AIの先手勝率も徐々に上がっていった。その終盤、先手が一方的に攻める展開となり、AIの評価値は80%を越える。下図、今▲2四歩と取り込んだ所で、次に▲2三銀を打たれるとすぐに終わってしまう。ここでは当然そう指すべき一着がある。ここで指された後手の次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問813-2)
上図から懸命に粘るも先手の的確な攻めの前に勝率は開く一方。そして今、下図は△3五金に▲5六飛と角取りに飛車を回られたところ。このまま角を取られる訳にはいかないが、先手からいろいろな筋の攻めも見え受け方も難しい。ただ、悪い時でも最善に粘っているとチャンスが回ってくることもある。ここで指された後手の最善の受けとは?実戦の進行を三手まで。
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問813-1解答)「飛車筋を先手で止める飛車頭の歩」
後手の理想は、△2八歩▲同飛△2七歩▲3八飛△4七銀打(△3七銀打)▲3九飛△2四角で、先手で飛車の利き止め▲2四の垂れ歩を払うこと。もちろん実際にそうなることはないが、それでもこうしたところは、とにかく先手になるように飛車頭を叩くのが手筋。そこで図のように△2八歩と叩いたのが実戦。

本譜は単に▲3九飛と寄っても、先手を取れている訳ではないが、豊島竜王は、この瞬間に▲2三銀と打ち込み後手陣を薄くしてから▲3九飛と寄った。そしてその後も先手の攻め、後手の受けが延々続いたがしぶとい受けにも着実に網を絞り先手勝率は90%台を推移。それでも少しでも間違えると入玉される手も残り評価値ほど差があるようには見えない最終盤が第2問である。

(問813-2解答)「中合いで飛車の位置を変える」
△5四歩▲同飛△5二歩と進んだのが実戦で、△5四歩の中合いが妙手。単に△5二歩と受けるのは、▲2六飛と飛車を切られ、△同金▲3三銀で必死だ。その飛車切りの筋を防いだのが△5四歩の中合い(△5四歩に▲2六飛は、後手の飛車が二段目に利いているので▲3三銀に△2五金でまだ粘れる)。ただ、先手陣が鉄壁なのが後手に取っては辛いところ。攻め合いを望めないので、少しゆるめの攻めでも入玉さえされなければ先手必勝。

本譜ここで▲3九香が激痛。△4五銀からさらに粘るも、先手が金銀を取り、▲5五馬と飛銀両取りに引きつけたところで後手投了。中盤の反撃から徐々に差を広げ、完勝譜で先手豊島竜王の勝利となった。
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