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NHK杯に見る受けの手筋

(2021年9月13日出題)

第817問(2021年9月12日 永瀬王座-日浦八段戦)
(問817-1)
先手永瀬王座、後手日浦八段で戦型は角換わり戦。お互い端の位を取った後、先手は右玉に、後手はしっかり矢倉に入り戦機を待った。そして、中盤の折衝、先手が飛車先を切った手に後手は△2三金と上がり飛車回りの趣向を見せる。これに先手も乗ったが、思った以上に玉頭の攻めが厳しかったのは誤算だったか、後手が指しやすくなる。下図はその途中。銀桂交換で駒得したものの、左桂も使われており、玉頭直通なので危険な状態。ここではどう受けるのが良いか?先手の指した次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問817-2)
上図から先手も懸命に粘るが後手の攻めも急所を突き差が縮まらない。むしろ終局に向かって後手が一歩一歩着実に進めている。下図は、その終盤。△6五歩の銀取りに、▲4四桂と打ったところ。ここではどう指すべきか?後手の指した次の一手は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問817-1解答)「敵の打ちたい所へ打て」
直通を消すときは、普通は▲3五歩と上に打つことは多い。と言うのも、位を取るなら上の方が攻めに役立つから。しかし、受けだけで言うと、実戦でも打たれた▲3七歩の方がしっかりしている。やはり△3七歩と逆にこの地点に歩を打たれると陣形全体が弱体化するから。と言うことで、▲3七歩と打ったのが実戦だが、解説でも話していたようにここで後手に何かありそう(うまい攻めがありそう)との感じは強い。

本譜は△3五桂から△8八歩と自玉との距離を考えつつ攻めた。そしてAIの形勢も開いて行き、最後の着地を決められるかどうかという局面が第2問である。

(問817-2解答)「焦らず、攻めずにじっと守る一着」
何も考えないなら△4二金は自然な一手。しかし、先手玉はすぐに必死のかかりそうな局面である上、▲5二桂成と取られても、後手玉にはまだ響かない。それだけに手抜いて攻める手も考えてしまいそうなところだが、実戦、ここでじっと寄ったのが落ち着いた好手だった。やはり△5二の金を取られると入玉を心配しなくてはいけなくなるのが大きい。手を渡しても△6五の歩は取れないので切れる心配はないということだろう。

本譜は▲6四桂から▲5二桂左成と上部への脱出を図ったが、△6六歩から△6五銀と押さえて入玉阻止。最後は見本のような寄せ方で粘る先手を突き放し後手日浦八段の勝利となった。
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