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NHK杯に見る受けの手筋

(2021年9月20日出題)

第818問(2021年9月19日 屋敷九段-佐藤天彦九段戦)
(問818-1)
先手屋敷九段、後手佐藤九段で戦型は力戦。後手の佐藤九段が戦型を決めず、先手に合わせて一旦は中飛車に振ったが、その後飛車を8筋に戻し相居飛車戦となっている。戦いは、後手の玉頭である3〜4筋から。そして最初は先手攻勢だったが、後手が反撃すると香得となりやや後手有利な局面に。下図は馬を作り先手の攻めを余しに来て、先手も今▲3四角と桂にヒモを付けながら、▲2三角成の攻めを見せたところ。ここで後手の指した次の一手は何か?ここからの実戦の進行を三手まで。
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問818-2)
上図から攻め合いとなり、後手の攻めが一歩早く先手玉に届いた。下図はその終盤。△7九銀と手筋の銀をかけられ後手玉も詰まず、このまま終わりそうな局面。しかしここからまだ一波乱あった。ここで指された先手の次の一手は何?特に三手目までの読みが驚く手順でその実戦の進行を三手まで。
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問818-1解答)「飛車先を止める常套手段」
問題図で△4五馬と取れば▲2三角成もなく、その局面は桂香得で十分という見方も出来る。しかし実戦△4五銀は強い指し方。▲2三角成と来られても大丈夫との読みで、▲2三角成には△2八歩が常に出てくる止め方。勢い▲2二馬△2九歩成と進み、その局面、もしくはその少し先の局面まで想定し△4五銀の可否を考えることになる。

本譜は▲3二歩成△5二玉に▲4四歩と筋で迫ったが、その瞬間△7四桂から攻め合いに出て後手優勢。何か受けの勝負手を指さないとそのまま終局してしまいそうな局面が第2問である。

(問818-2解答)「上部脱出を見せて相手の攻めを焦らせる」
▲7七の桂を動かすしかないのは分かるが、桂を跳ねると△7七歩が見える。しかしここで▲6五桂と跳ね、筋の△7七歩に▲同玉の読みがすごい勝負手。普通は王手で△6五桂などと取られながら使われるのではダメとしたものだが、金桂を見捨てて▲6六へ出た形は馬が手厚く優勢な後手に取っては心配な局面。

本譜は△8八龍と金を取り、▲6六玉に取れる銀を取らずに△5四銀引と引いた。しかし、▲2四桂が入り△3一玉の瞬間AIの評価値は互角に戻る。ここから難解な終盤に入るかと思われたが、直後に(AIの評価値によれば)敗着の一手が出て、先手玉が詰めろになり後手玉は詰まず、後手佐藤九段の勝利となった。
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