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NHK杯に見る受けの手筋

(2021年10月25日出題)

第823問(2021年10月24日 行方九段-羽生九段戦)
(問823-1)
先手行方九段、後手羽生九段で戦型は相矢倉。途中、角交換になり、先手の行方九段が▲4五歩から軽く動いたが、後手が5筋を突いて反撃すると動き方の難しい中盤戦に突入。下図は今、△5六歩と歩を取り込んだところ。感想戦で、▲5六同金の変化はやっていたが、△7五歩から動かれて少しまずいらしい。ただAIの評価値はまだほぼ互角。ここで指された先手の次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問823-2)
上図から後手の攻めに、先手は最も激しい順で後手陣に踏み込んだ。しかしやややり過ぎだったか、攻めが細くなり形勢も後手に傾いた。下図は角損の攻めで、▲2三に龍を作ったところ。金があれば△3二金ではっきり良し。しかしなくても駒得は大きく、後手指しやすい。ここでは受け方は一つではないが、後手の指した次の一手は何か?指されて見ると感触の良い”なるほど”の一着。羽生九段の指した次の一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問823-1解答)「金を上がって陣形を引き締める」
感想戦でも触れられていたように、本来は戦いの始まる前に上がっておくべき金だ。しかし、ここでじっと上がっておいたのも見ている時は渋い一着に見えた。△5五銀右と位を確保してくれば、その瞬間に反撃をする。中盤においても厚く守る手に損な手はあまりない。

本譜はこの後の先手の攻めがどうだったか。角を切って踏み込んだものの駒損が大きく、後手が間違えなければ優勢になるという局面が第2問である。

(問823-2解答)「自陣の駒で軽く金取りを受ける」
ここで△3三桂と跳ねて金取りを受けたのが、品の良い受け方。解説でも言っていたように、△4三の金は取られてからでも受けられるので、▲4五の桂を取ってしまっても良さそうだったが、実戦の△3三桂はなるほどの一着だった。

本譜はこの後▲5二歩から▲5三桂成と手筋を駆使して後手陣に襲いかかった。しかし丁寧に面倒を見られると、先手の龍は追われて自陣に引かざるを得なくなり、最後は後手玉に詰めろもかからず後手羽生九段の勝利となった。
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