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NHK杯に見る受けの手筋

(2022年2月21日出題)

第839問(2022年2月20日 佐藤康光九段-深浦九段戦)
(問839-1)
先手佐藤九段、後手深浦九段で戦型は先手の力戦向かい飛車。先手が3手目▲5六歩、5手目▲6六角から向かい飛車に振ると、後手は△7二金と上がり、バランス重視の駒組みを目指した。中盤はどちらも手の出しにくい局面になり動きの難しい局面は続いたが、銀冠の先手が先攻。しかし、後手も頑強に受けると差は広がらず、AIの評価値も50%前後を揺れ動いた。そして下図、今△2五歩と後手が反撃に出たところで、少しでも応手を間違えると銀冠といえども崩壊する。ここではどのように受けたら良いか。先手の指した次の一手は何?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問839-2)
上図からも互角の攻防は続いたが、終盤に入ると後手が攻勢に立った。そして飛車を奪うと△8八飛と下ろし優勢。下図は、今▲2六角と桂を取りながら間接的に玉をにらんだところ。▲8六の金がタダなので取っても良さそうだが、▲7四歩と玉の逃げ道を封鎖される手は気になる。そこで後手は別の受けの一手を指した。ここで指された後手の次の一手は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問839-1解答)「先に桂で取る場合」
突かれた歩に対し、歩で取れる場合は歩から取るのは基本だ。しかし、空間に歩を打たれるような時には先に桂で取った方が良いこともある。ここも、▲2五歩と歩で取ると常に△2六歩と打たれ、▲同銀に△3五歩などの攻めが来る。そこで、▲2五桂と先に桂で取り、△同桂の瞬間はまだ甘いので、▲6四歩から▲7四香と先攻して攻めることになった。

本譜は、形勢不明の難解な終盤戦が続いた。しかしそこを抜け出したのは後手。先手の飛車を取って、攻防に打つと、勝利まであと少しとなっているのが第2問である。

(問839-2解答)「入玉含みに角筋からかわす」
ここで△6三玉と立った手が角筋をかわしながら、玉を寄せづらくする受けの一着。次に▲8六の金を取れば止める駒がなくなるし、万一の流れ弾にも当たらない堅実な一手だ。

本譜は、▲8七歩と金を守ったが、△8五歩から△9五歩とさらに玉を安全にしてから攻めると、確実な攻めで先手玉を必死に追い込み、後手深浦九段の勝利となった。
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