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(2)駒割りとは(駒の価値)
形勢判断の中で、もっとも重要なもの、「駒割り」について見ていこう。駒割り(こまわり)とは、もちろん駒の損得勘定の事だ。
駒には、一つ一つ価値がある。初級者の人には、簡単に「飛・角・金・銀・桂・香・歩」の順に価値が低くなって行くと話しているが、実際はどうなのか、もう少し詳しく見ていこう。
かつて、「将棋に勝つ考え方」(現在絶版らしい)と言う本の中で、谷川浩司プロが、駒に点数をつけたことがあった。その点数をここに列挙してみる。
飛・・・15点 |
角・・・13点 |
金・・・9点 |
銀・・・8点 |
桂・・・6点 |
香・・・5点 |
歩・・・1点 |
龍・・・17点 |
馬・・・15点 |
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成銀・・・9点 |
成桂・・・10点 |
成香・・・10点 |
と金・・・12点 |
これが、その本に書かれている点数だ。成駒で、と金の方が成銀より価値が高いのは、相手に渡った時のことを考慮してのこと。
むろん、本にもあるように、この点数を覚える必要はない。私も覚えてないので、今、本を見ながら書き写したくらいだから。
ただ、駒交換する時の大きな目安にはなるので、漠然と、こんな感じと思っていてくれればいい。
ところで、前のページで、「級位者の将棋を見ていると簡単に駒損をする」と書いたが、これはやはり駒の損得に関する意識が薄いからだと思う。プロの将棋を見ていると、終盤まで、派手な駒の交換が行われているのに、駒割りの計算をすると、損得なし、と言うことが結構ある。これは強くなるにしたがい、駒の損得に敏感だと言うことでもある。
たとえば、中盤の入り口で辺りで「銀損した」、と言うことは、具体的にどのくらいの損なのか考えたことはあるだろうか?これは、自分の銀がなくなっただけではない。当然のことだが、相手に銀が増えたと言うことに気づかなくてはならない。
下の図面をちょっと見て欲しい。
飛車落ち |
銀損 |
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左は飛車落ちの最初の盤面図、右は銀損して、後手の持ち駒に銀がある図だ。実は上の点数表で、計算すると、飛車落ちは、飛車がないので、マイナス15点、右の局面は、銀がなく相手に銀があるので、プラマイ先手のマイナス16点と言うわけだ。つまり、銀を損すると、それ以外に得したことがなければ、飛車落ちに匹敵すると言うことになる。普段、平手でいつも良い勝負をしている相手に、左のような飛車落ちで勝てる自信はあるだろうか?
さて、もう一つ、今度は角損の場合だ。
二枚落ち |
角損 |
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これも計算してみると、二枚落ちは、マイナス28点、角損は、マイナス26点になり、ほぼ同じとなる。有段者になれば、プロを相手に二枚落ちを指した経験のある人もいるだろう。その時、仮にいい勝負をしたとしても、平手で勝てると考えるだろうか?つまり角損とはそれくらい形勢に差が出来てしまったと言うことなのだ。
駒損をしないで将棋を指していく、と言うことは非常に大事なことだとの認識を持ってもらえたら、次のページでは、実際に駒割りを計算する時、高段者やプロはどう見ているのかを説明していきたい。そして、それはいろいろな本に書かれている駒割りの計算方法と同じであるので、本を読むときの参考にもなるだろう。
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