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(3)駒割りとは(駒の損得勘定)

では、具体的に駒割りの計算の仕方を見ていこう。
実は、前のページで駒に点数をつけていたが、実際にはこれほど細かく計算する訳ではない。

駒割りの計算で、まず覚えておいて欲しいことは、

「大駒(飛角)は、同じ価値、金銀は同じ価値、桂香は同じ価値、歩は計算に入れない」と言うことだ。

もちろん、これは、盤上にある駒と持ち駒すべてを計算に入れなければならない。
そして、これを前提にあえてもう一度点数をつけ、大駒を基準に考えるなら、大駒10点、金銀6点、桂香4点くらいと言うこと。

つまり、

「大駒一枚と金銀二枚の交換は、金銀二枚の方が得」、「大駒一枚と銀桂交換はほぼ同じ」、「大駒一枚を桂香二枚と交換しても、あまり得にはならない」「金銀一枚と桂香二枚では桂香二枚の方が得」

と言うことを覚えておいて欲しいのだ。

もちろん、これは大前提であって、実際の将棋では、単純に損得が計算できないことも多い。ただ、私が将棋センターで、人の将棋を一目見た時、まず最初にするのが、この駒割り計算だ。

それと、上には、「ほぼ同じ」と書いたが、本によっては、「角と銀桂を交換したので得した」と言うように、二枚換えの方が得と言う書き方をしているものの方が多いと言うことも一応頭の隅に入れておいて欲しいと思う。

さて、下に例題を二つ載せたので、実際に駒割り計算をしてみてもらいたい。

例題1 例題2

図の左側、例題1は、今年の名人戦第4局から。実際に駒割り計算する時には、先手側から見ても後手側から見ても構わない。
では、実際に駒割り計算をしてみよう。

「まず、先手には、龍があり、角が手持ち。さらに、金銀が四枚とも盤上にある。そして、2九の桂は5五にあり、1九の香は手持ちになっている。」と見ることができ、この局面は、駒割りは五分と言うことになる。

龍ができ、双方ともに、と金までできているのに、駒割りは五分。こういう将棋が実際のプロの将棋では多い。それだけ駒割りに敏感だと言うことだ。そして、この名人戦第4局は、まさに終局まで、駒割りは五分のままだったのだ。

例題2は、将棋センターの一場面から。かなり駒の交換が行われているが、「まず、大駒は飛角交換しているだけで、五分、先手には銀がない。その換わりに、持ち駒にやたら桂香があるように見える。でもよく見ると、桂二枚は自分のだし、香一枚も自分のものだ。」したがって、銀と香の交換で先手の駒損と見ることができる。ただ、より正確に言うなら、先手の飛銀と後手の角香交換と言える。

駒割りの計算方法は、こんな感じで見てもらえればいい。
さらに、練習問題を4つ作ってみたので、やってもらいたい。なお、形勢判断までは、まだしないので、単純に駒割りの計算だけをし、分かったら解答をクリックしてみて下さい。

第1問 第2問
第3問 第4問

解答(別ウィンドウ)
さて、駒割りの計算はできるようになっただろうか。一つだけ級位者の方に付け加えておくと、駒割りでは、飛角を同列で計算するけれども、棋力が下がるにしたがい、飛車の価値の方が高くなっていくと言うことだ。
したがって、初心者同士の戦いでは、飛車一枚と金銀二枚の交換では、飛車を持った方が有利に展開する場合が多い。また、飛車と角の交換も計算上は同じだけれども、やはり飛車の方がいくぶん得(初心者の場合はかなり得)だと言うことも覚えておいて損はない。
ところで、この駒割りは、形勢判断の基礎ともなるべき事柄だが、これが終盤になるにしたがい、駒割り重視ではなくなっていくので判断がまた難しくなっていく。また、ここでは、歩は計算に入れていないが、序盤から中盤にかかる辺りでは、実は歩も重要になってくることも多い。
次のページは、ちょっと細かいことだが、上級者から有段者(初、二段)なら押さえておくべき、歩の損得、終盤の駒割りの考え方について触れておきたい。
初心者の人は、次のページを飛ばして、「駒の働きと遊び駒」へ進んで下さい。

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