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NHK杯に見る受けの手筋

(2020年2月24日出題)

第738問(2020年2月23日 稲葉八段-丸山九段戦)
(問738-1)
先手稲葉八段、後手丸山九段で戦型は一手損角換わり。先手の棒銀に、後手は腰掛け銀から居玉のまま△6五銀と早い動きを見せた。これに先手も反発したが、後手はさらに厳しい踏み込みで一気に終盤戦となった。下図は角損の攻めで飛車を成り込もうとしているところ。普通に考えれば▲7七同桂△8九飛成▲7九歩△7八金と進みそうだが、実戦先手は別の受け方を用意。ここで指された先手の次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問738-2)
後手が攻めきれるか先手が受けきれるかのギリギリの攻防は続いた。しかし(感想戦でも)はっきりした敗因は分からないものの徐々に後手の攻めを余せそうになり、下図は完全に受け切り先手優勢。勝ちまであと少しだが、今△2七金と飛車を取られている。もちろん、△1八金▲同香△7八飛と進めばとん死だ。ここでは攻めても一手勝ちできそうだが、間違えようのない勝ちを確定させたい。ここで指された先手の次の一手は?実戦の進行を三手まで。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問738-1解答)「駒損しても飛車の押さえ込みを優先」
感想戦では▲7七同桂と取る変化も並べられそれでも難しいという話にはなっていたが、実戦▲8四歩がなるほどの一着だった。歩が何枚もあれば叩くのは当然の一着だが、当たっていないだけに気づきにくい一着。ただ、元々角損の攻めなので、銀を取られても(先手から見れば)まだ角金交換の駒得。飛車さえ押さえておけば、先手にはやりたい手がたくさんあるということ。

本譜は△7六と▲8三銀△1二飛▲5三角成と進み、それでもまだ形勢不明の終盤戦は続いた。先手玉もかなり狭く、受け切れるのか際どい勝負となっていたが、局面が進んで行くと徐々に凌ぎが見えてきてはっきりしたのが第2問である。

(問738-2解答)「玉を安全にしながら二手スキを外す」
▲7七玉と上がり、△1八金に▲8八玉と金を取ったのが実戦。問題図で▲4三角と詰めろをかけても勝ちだろうが、万一後手玉への詰めろが外れた時、△7八飛からの三手詰を残して置くのは危険だ。という訳で、▲7七玉と上がり、△1八金と飛車を取った手に▲8八玉と金を外して先手勝勢。

本譜は、この後△1九金に▲4三角を見て後手が投了、先手稲葉八段の勝利となった。

なお、投了図から銀二枚の位置を変えて、後手玉に唯一の詰み筋を作ったので「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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