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NHK杯に見る受けの手筋

(2020年7月6日出題)

第751問(2020年7月5日 山本博志四段-近藤誠也七段戦)
(問751-1)
先手山本四段、後手近藤七段で戦型は三間飛車対居飛車銀冠。初手▲7八飛からの出だしだったが、後手が早めに飛車先を決め、居飛車穴熊を目指した為、これを阻止する駒組みとなった。その後、後手は香を上がったままの銀冠となり、先手は石田流にして戦機をうかがう。そして幸便に角交換を狙うと、先に香は損しても後から取り返すとやや先手ペースへ。下図は▲8四歩と香を取り返したところ。ここで後手はどうしたか?先手陣だけを見れば△7七飛成と桂を取り返したいところだが、これには返し技がある。ここで指された後手の次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問751-2)
上図から先手の攻め、後手の受けが延々続いたが徐々に先手有利から先手の攻めが刺さり優勢へと進んで行った。そして最終盤、下図は先手勝勢。▲3一龍と角を取りながら玉に迫ったところ。次に▲2二金△3四玉▲2三角の三手詰がある。局面的には投げてもおかしくないが、こうしたところで頑張れるかどうかも棋力の一つ。特にアマでは一瞬にして形勢が入れ替わることもあるので悪い時の指し方も覚えたい。ここで指された粘りある後手の次の一手は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問751-1解答)「切られる駒を先にかわす」
△7八飛成と桂を取ると▲8六角打という龍取り二枚換えを打たれてしまう。そこでその手を防ぎながら金をかわしたのが実戦。このように相手の駒から先にかわしておく手は、仮に▲8六角打のような手がなかったとしても受けとしては立派な手だ。▲5三角成から▲7一角の筋も未然に防いでおり、形良く効率的な受けと言える。

本譜は、▲8三歩成から▲8六香と香を投入しても飛車を取りに行った手が後手陣の香上がりをとがめた手で、先手が有利になった。そしてさらに進み、先手優勢から勝ちまであと少しの局面となったのが第2問である。

(問751-2解答)「自陣龍で耐える」
金があれば二段目に金を打って一旦は受かる。しかしその金がない為、自陣に駒を入れても取られてしまうだけだ。そこで△8二龍と引いたのが実戦。これで▲2二金に△同龍を用意して簡単には寄らないようにした。但し先手玉が鉄壁なので局面は後手敗勢。それでもアマ同士なら逆転することもあるのが将棋。

本譜は、5筋や7筋に歩が利くのも大きかった。▲7二歩の手筋から▲6一角と自玉との距離感を考慮に入れた遠巻きの攻めで優勢を拡大。この後も、しぶとく粘った後手だったが、正確に寄せ切り先手山本四段の完勝譜となった。
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